二択
女を狂わすのは、愛だ。

よく女同士に友情はないというが、

それは、女が愛情に深いからではないのだろうか?


愛する人。

愛する子供。

たった1人しかいない自分が、与える相手のなんて多いことか…。

ペットも入るかもしれない。

そんな女が、同じ女に同じように接することができるのだろうか?




仲が良かった2人の友達。

斎籐奈都子と鳥井綾。


そして、あたし…鹿島裕子は、学生時代からいつも一緒で、仲が良かった。

それは、OLになっても変わらなかった。

かけがえのない仲間…親友。

たまに、酔っぱらって、面とは言えないことを口にし合うこともあった。

そんな三人のうち…1人を失うことになるなんて…。


綾と奈都子は、同じ人を好きになった。

最初は、綾が先で…でも、付き合ったのは、奈都子だった。


「おめでとう」

綾の祝福の言葉に、奈都子は嬉しそうに、ありがとうとお礼を述べた。


学生の頃からの仲である。

うわべだけで言ってもわかる。だからこそ、綾の言葉は真意だと、あたしは思った。


だけど、

2人と別れ、家に着いたあたしの携帯に飛び込んできたのは、綾の本音。

『やっぱり…堪えれない!あの顔!あたしが好きになって、何とか仲良くなれたと思ったら…横から、あいつが近づいて来て…いつのまにか…あたしから、彼を!』



綾の気持ちも理解できた。

だから、あたしは慰めのメールを打った。

狭いワンルームマンションのほとんどを占領するベッドに倒れ込むと、あたしはため息をついた。



< 12 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop