二択
戸川の話に、最初は渋っていた町医者も…喉の乾きを訴える姿を見て、


渋々、紹介状を書いてくれることになった。


予約を取り、市内の大きな総合病院にいった時、

長谷川は戸川を見かけることになる。

長谷川は、知り合いのお年寄りの付き添いで来ていたのだ。


戸川と岬は、予約をとっていたとはいえ結構待たされ、戸川が診てほしかった喉の乾きと胃の痛みではなく、尿の異常で診断されることになった。


泌尿器科の医師は、戸川を見ずに、こう言った。

「入院して下さい」


町医者の検査結果だけを見て、入院をすすめる医師。

岬は、夜中の戸川の奇行を知っている為、

入院したら頭がおかしいと思われることを懸念した。

それと、データしか見ない医師に違和感を感じた。

患者を見ていない。


戸川と岬は、総合病院を後にした。

何も診てもらうことなく、お金だけを払った。


その夜。

彼女の奇行は、激しくなった。

岬の名前を忘れ、ただ泣きじゃくる。

夜が明けても、顔色は悪く、ますます行動もおかしくなっていった。
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