二択

心の訴え

今考えると、戸川はパニック障害になったのかもしれない。

病院に通っても治らない自分と、本当の痛いところを治療しない医者。

岬は、再び薬に頼りだした戸川に言った。

「薬を飲まないくれ!でないと...俺は」

それは選択だった。

薬か、自分か...。


最後の手段として、藁をも掴む思いで、岬はネットで調べた。

そして、見つけた評判の心療内科と小児科を兼ねる医者のもとに、戸川を連れていた。

70を越えた医師は、戸川の体を指で診察し、話を聞き.....痛い部分も調べた。

しかし、異常はなかった。

「悪いとこはない!」

年取った医師は、きっぱりと言い切った。

その言葉が、戸川に久々の笑顔を与えた。

だだし、神経が過敏になっていると。

できるだけ、楽しいことを考えるようにと言い、薬は出さなかった。
< 123 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop