二択
長谷川は、岬を見つめた。

彼は、狂っていない。

自然と...ため息が出た。



「先生....」

そんな長谷川に、岬はきいた。

「優子は....医者に行くべきではなかったのでしょうか」


長谷川は息を飲んだ。

(そんなことはない....行くべきだ)

本当なら...そう言いたかった。

しかし....その言葉は出なかった。

口ごもる長谷川に、岬は最後に告げた。

「病気を治すのは...医者ではなく...自分自身なんでしょうね。だけど....」

岬の目から、涙が流れた。

「壊れた心は....どうしたら治ったのでしょうか...」
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