二択
岬との面会は、終わった。

岬に頭を下げ、部屋を出た。

昨今...増え続ける患者をこなす為、データに頼る医師は多い。

そんな中、増え続ける精神を病んだ患者と向き合うには、一人一人に合ったケアが必要なはずであるが....はたして。

犯罪を犯した人間と...一人一人向き合う自分。

人は、それぞれ違うからだ。

「だけど....」

長谷川は先程...こたえれなかった答えを呟いた。

「医師も人だ。患者が、選ばなければならない」

岬は言った。

病気を治すのは、医者じゃない。


「自分自身が、守るしかないのかもしれないな...」

岬がやったことを、許すことはできない。

が...しかし...。

「....」

長谷川は言葉を飲み込み、ため息に変えた。

そして、ゆっくりと廊下を歩き出した。


命の重み....心の痛み....。

ただ...真剣に向き合わなければならない。



二択(他人事)


終わり。
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