二択
「無職!…そ、そうなんだ..」

あたしは、聞いてしまったことを少し後悔した。

そんなあたし様子に気付き、

「仕事は探してるよ。今日も知り合いの運送会社に面接に行ってるし」

翠は、テーブルに置いてあるミルクティーに手を伸ばし、ストローで啜った。

「そうなんだ…よ、よかったね!」

あたしが安心して、胸を撫で下ろした時、翠はグラスを置くと、テーブルに肘を付き、あたしから視線を外すと、

呟くように言った。

「仕方ないよ…。彼、出所したばかりなんだから」



「え?」


目を丸くするあたしを、頬杖をつき、上目遣いで見ながら、

翠が雄太について、語ったことはあたしの想像をこえていた。

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