二択
わなわなと震えだし、そして…


翠の瞳から涙が流れた。

「今のあなたが、いなくなるなんて嫌…」



「え?」

泣きじゃくる翠に気付いたけど、雄太は無視して、しばらくテレビを見ていた。

数分後、

「まだかよ」

聞いても返事がないから、振り返ろうとした瞬間、

後ろから翠は、雄太に抱きついた。

「み、翠…」

「今のあんたは…違うわ…」

振り返った雄太が、目にしたものは、知っている翠の顔ではなかった。

目を血走らせ、恐ろしい表情をした翠は、雄太を睨みながら、

「あたしの雄太を返して!!」

手にしていた包丁を、背中から一気に突き刺した。
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