二択
『何か…変わったことはなかった?』

そんなメールが、綾から来ると、ドキッとしてしまう。

あたしは、何もなかったと打ち、他愛もない内容のメールを返した。



そんなやり取りを、数ヶ月行っていたが、

ある日、メールが止まった。

そして、数日…三人で会うこともなかった。


あたしは気にはしていたが、毎日の仕事に追われ、綾や奈都子のことばかりを考えている暇がなかった。

「先輩!これ…どうするんですか?」

新しい後輩もできて、あたしは仕事に追われていた。

そして、また時が過ぎた。

いきなり、奈都子から電話があった。

「裕子!あんた、綾の居場所を知らない!」

興奮し、怒っているような口調に驚きながら、知らないとあたしが言うと、

「わかった!」

と一度、電話が切れたけど、すぐにまたかかって来た。

「ごめん!ほんとは、言いたくなかったんだけど…綾のやつ…あたしの彼氏といるかもしれないんだ!」

「奈都子?」

「綾のやつ…あたしの彼氏を!」

怒りながら、泣いているのが、わかった。

「奈都子!何があったの?」

あたしか聞いても、奈都子は混乱しているのか、答えず、

「2日前から、連絡取れないの!……綾の家かな?家よ!そ、そうよ!絶対!そうよ!」

奈都子はそう叫ぶと、あたしを無視して、電話を切った。






「それが、あなたと話した最後ですね」

あたしの前に、座る男は、あたしにそう聞いてきた。

過ぎ去った事実を確認する為に。

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