二択
愛
奈都子の電話。
それが、あたしと三人の繋がりの最後だった。
後は、新聞とテレビのニュースで知った。
被害者 鳥井綾と町田透。
加害者…斎籐奈都子。
愛憎の縺れから、加害者は被害者宅で、2人を殺害。
錯乱状態になり、泣き叫ぶ奈都子を担当することになったのは、長谷川正流だった。
「あいつら!あいつら!」
愛憎の縺れ…浮気の末の殺人。
動機はわかりすぎていた。
しかし、不明なところがあった。
加害者は、明らかに殺しに行っている。最初から。
確かに、浮気現場を押さえた。それも、親友の家で…。
殺したく思うだろう。
だけど、最初から親友と恋人を殺しにいくだろうか。
加害者宅で、言い争った様子はない。
現場検証から、奈都子は家に上がり込むとすぐに、一目散に綾に近づき、綾の首を用意した出刃包丁で、切り裂くと、
返す手で、彼氏の股間に、突き立てている。
口論がない。
奈都子は、殺しに行ってるのだ。
綾と彼氏はいわば…一回目の情事である。
もしかしたら、ただ部屋でお茶を飲んでいただけかもしれない。
これなのに…有無を言わせずに、殺している。
「あいつは!あいつらは、あたしを馬鹿にして!騙して!いつも、いつも!」
泣き叫ぶ奈都子の供述を聞いていた担当者は、あることに気づいた。
「多すぎるんですよ。動機へ向かう理由が…。調べてみると、加害者の想像としか考えられないことがあります」
事件の事実関係をまとめた報告書に、目を通していた長谷川は顎に手を当て、少し考え込んだ。
「だけど…それを信じているんですよ!確信を持って」
「わかりました」
長谷川は頷くと、用意していたカードを上着の内ポケットにしまった。
(これは…いらないな)
長谷川は、奈都子がいる部屋に入った。
それが、あたしと三人の繋がりの最後だった。
後は、新聞とテレビのニュースで知った。
被害者 鳥井綾と町田透。
加害者…斎籐奈都子。
愛憎の縺れから、加害者は被害者宅で、2人を殺害。
錯乱状態になり、泣き叫ぶ奈都子を担当することになったのは、長谷川正流だった。
「あいつら!あいつら!」
愛憎の縺れ…浮気の末の殺人。
動機はわかりすぎていた。
しかし、不明なところがあった。
加害者は、明らかに殺しに行っている。最初から。
確かに、浮気現場を押さえた。それも、親友の家で…。
殺したく思うだろう。
だけど、最初から親友と恋人を殺しにいくだろうか。
加害者宅で、言い争った様子はない。
現場検証から、奈都子は家に上がり込むとすぐに、一目散に綾に近づき、綾の首を用意した出刃包丁で、切り裂くと、
返す手で、彼氏の股間に、突き立てている。
口論がない。
奈都子は、殺しに行ってるのだ。
綾と彼氏はいわば…一回目の情事である。
もしかしたら、ただ部屋でお茶を飲んでいただけかもしれない。
これなのに…有無を言わせずに、殺している。
「あいつは!あいつらは、あたしを馬鹿にして!騙して!いつも、いつも!」
泣き叫ぶ奈都子の供述を聞いていた担当者は、あることに気づいた。
「多すぎるんですよ。動機へ向かう理由が…。調べてみると、加害者の想像としか考えられないことがあります」
事件の事実関係をまとめた報告書に、目を通していた長谷川は顎に手を当て、少し考え込んだ。
「だけど…それを信じているんですよ!確信を持って」
「わかりました」
長谷川は頷くと、用意していたカードを上着の内ポケットにしまった。
(これは…いらないな)
長谷川は、奈都子がいる部屋に入った。