二択
「せ、先生…」

結花理の全身から、力が抜けていく。


長谷川は頷き、

「あなたは、1人と言ったけど…私をここに呼んだ両親がいる。誰よりも、あなたを心配している…」



「せ、先生…」

結花理は号泣しだした。

「指が…指が痛いよお!小指が痛いよお〜」

叫びながら、泣き崩れる結花理を、長谷川はぎゅっと抱き締めた。



数分泣いた後、結花理は呟くように、口を開いた。

「あ、あたし…借金いっぱいした…」

「ゆっくり返せばいい。今ある…いらない物を売ってもいいし…」

「先生…」

結花理は、すがり付いていた長谷川から離れると、顔を上げ、

「あたしに…質問して下さい」

「え?」

泣き顔を隠すことなく、まっすぐに長谷川を見つめ、

「あたしに、未来は好きか、嫌いかを」


結花理の瞳に、輝きが戻っていた。

長谷川は微笑むと、

「あなたは、未来が好きですか?嫌いですか?」

結花理にきいた。


結花理は唇を噛みしめ、折れてない指達を握りしめると、

「好きです!好きになってみせます!」

力強く言い放った。



長谷川は頷いた。

もう目の前には、膝を抱える者はいない。

「そう望む者の未来が、よくならないはずがないよ!」

長谷川は笑いかけた。
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