二択
「ゲームのプレーヤーであるやつらに、怒りや感情を向けても、無意味だ!殺された遺族が、怒り悲しむことなど…当たり前の事だ!やつらを殺したいなど…当たり前のことだ!」

坂城は、掴む手に力を込め、

「やつらのゲームの駒になるな!妹さんを殺された、君の怒りは私がよくわかる!」

長谷川の目を見つめ、

「君の中に生まれた狂気を、コントロールしろ!殺すだけでは、やつらに勝ってない!君ならできる!やつらを上回るプレーヤーに!やつらを支配しろ!飾りだけの狂気から、現実に戻してやれ!今だからわかる!殺人犯より、大切な人を殺された者の方が、狂気を持てる!」

「…」

「私は、この狂気をコントロールできなかった…」

「…先生!しかし!僕には」

「君は、何を学んできた!何を習ってきたんだ!」

坂城は、長谷川の肩に手を置き、

「人の心は、複雑だ!だが、単純でもある!人の生き方は、結果だ!結果に導く時、いろいろな道があり、その内の一つを選んだ後....最後に決めるのは、行くか行かないかだ!」


長谷川の肩を握りしめ、

「君の領域へ…奴等をゲームから、引き摺り降ろせ!」

「先生!救急車を呼びます!」

顔色が悪くなっていく坂城は、これ以上ほってはおけない。

携帯を取りだし、電話をかけようとする長谷川に、

「それよりも…君を呼んだ訳を言おう!やつは、私を呼んでいる。君は、私の代わりに、代役で行って貰う。やつと対峙しろ!被害者の遺族ではなく…精神科医として!」

「だけど…僕はまだ…」

「心配するな…資格などいい。君しか、やつとやりあえない。狂気を持った君しか…」


「先生!」

坂城は、そのまま意識を失った。

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