二択
三宅哲郎に、殺害された2人の被害者の名は、


遠藤茜と、

滝村大毅。


2人とも、哲郎の知り合いであったことが、確認されているが、


茜と大毅が出会ったのは、意外にも最近であった。


茜は知らなかったが、大毅と出会ったのは、

哲郎の手引きがあったからだ。



3人の関係。


それは、とても奇妙なことだった。



茜は、スタンディングバーの店員であり、

哲郎はそこの常連であった。

ガールズバーに近いスタイルをとっていた…そのバーは、

女の子ばかりの為が、ほとんどが男性客であった。


その為、女の子目当ての客が多い。

哲郎もその1人だったかもしれなかった。


それは、あからさまではなかったが、

茜がいる日になぜか…足が向かっていた。

若い頃に結婚し、30歳後半で、離婚した哲郎は、

その店の近くのアパートに1人暮らしをしていた。

離婚の原因は、わからなかった。

妻から突然言い出し、

突然離婚することになった。

一度、嫌と決めた女の動きは早い。

一週間も経たない内に、離婚届に判を押し、

妻と離婚した。

その代わり、慰謝料は取られなかった。



1人になって間もない頃、哲郎はその店を見つけ、

茜に出会ってしまった。


茜の初対面でも気さくで、接客くさくない態度が、

哲郎に好印象を与えた。


いつのまにか、ほぼ毎日…店に通うようになっていた。

そして、バーのなのに、11時に閉まる営業時間がよかったのか、

哲郎は最後までいることが、多くなった。

その理由は、居心地が良いのもあったが、

女の子目当ての酔っぱらいが、閉店までいて絡んでいるのを見たからが、大きかった。


哲郎は、知らず知らずの内に、女の子を守る為に、店にいることになっていった。


しかし、

それは…。




最初は善意であったが、

それが当然になった時、


哲郎の中で、自分がただの客であるという意識ではなくなってしまっていった。

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