二択
状況が理解できない哲郎は、次の日も店に行ったが、

入れてくれなかった。


茜に電話をしても、着信拒否にされていた。


納得できない哲郎は、1ヶ月近く、毎日店に行ったが、

いれてはくれなかった。

時には、他の客から、

しつこいと罵倒された。



「そこまでして…どうしていかれたのですか?明らかに、店側はあなたを利用していた。それなのに、どうしてです」

長谷川の質問に、

哲郎は少し目を見開き、驚いた顔を見せた。

その顔は、なぜそんなことをいうのかと、長谷川に告げていた。



その表情に、長谷川はおかしなものを感じた。


哲郎はただ…利用されていただけでない。

そこに、理由があるのだ。


長谷川は内ポケットから、二枚のカードを取り出した。


そのカードは、単純に…男と女。


長谷川は、カードを机に置くと、

「あなたが、そこまで拘った理由は…これですか?」

長谷川は女のカードに手を添えると、哲郎に向けて前に出した。


哲郎は、困ったような顔をした。

どこかはにかんで…。

その表情に、長谷川はカードから手を離した。

そして、哲郎を見つめ、

「真実を述べて下さい。それは、あなたの為にもなります」



「私の為ですか…」

哲郎は大きく、息を吐くと、

「私は別に良いんですが…彼女の為になるか…」


「彼女?」

長谷川は眉を潜めた。

「はい」

哲郎は、長谷川の顔を見ていない。


「それは…遠藤さんのことですか?」



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