二択
「はい」

哲郎は頷いた。そして、カードを見つめ、

「本当は…本人から、話すことを禁止されていたんですよ。一応、私は店のお客ですし」

長谷川は、哲郎の話はあり得ないと思った。

周囲から、茜と哲郎の関係は聞いていた。

店側も、常連も…口を揃えてこう言った。

哲郎は、茜のストーカーだと。

そして、犯行前…茜は大毅とつき合っていたのだから。

「みんな…信じないでしょうね」

哲郎は笑うと、おもむろに自分の手を見て、

「だけど…私と茜は、男女の関係だったんですよ」

ゆっくりと握りしめた。


その様子に、長谷川は目を細めた。


誰もが知らなかった…二人の関係。


そこに、今回の悲劇が待っていたのだ。


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