二択
「チッ」

幾多は軽く舌打ちした後、頭をかいた。


(何だろう?この虚しさは)

保健室を出て、廊下を歩く幾多は、少し苛ついていた。

その理由は大体、わかっていたが、

クールでないと、自分を恥じていた。

学校自体は、嫌いではない。

しかし、そこに通う生徒が気にいらないのだ。


普段なら、そう思っていても、そんなことを考える暇はないのだが…。





残りの授業が終わると、幾多はさっさと学校を出た。


行く場所があるからだ。


ほぼ毎日通っていることが、自分でも信じられなかった。


そんな感情があることにま、驚いた。

もう一ヶ月は経つ。


幾多が真っ直ぐに向こう場所は、

病院だった。



もう夜になると、病院は静かである。

夕陽が沈んで、月明かりが照らす中、

幾多は、足音が響く廊下を歩いていた。


そして、ある病室の前で止まると、

一呼吸おくと、ドアを開いた。


灯りもつけていない病室に、幾多は入ると、

奥のベットまで歩いた。


そして、白いベットの上で眠る女の子の顔を覗きこんだ。

「調子は、どうだい?涼子」





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