二択
塾が終わると、すぐに山下は、携帯を手に取り、
ある番号にかけた。
「田端!い、幾多が、退院したって、本当なのか!お、俺に、で、電話がかかってきたぞ!」
山下は人に話を聞かれないように、塾を出ると、
裏口に走った。
「い、意識が戻らないと言っただろうが!」
山下は携帯に向かって、叫んだ。
「ど、どうしたら…」
異様に震える山下は、しばらくかけている相手の話を、うんうんと素直に頷きながら聞いていた。
「わ、わかった…」
山下は携帯を切ると、少しふらつきながら、歩き出した。
その足は、実家には向かっていなかった。
そして、その数メートル後ろの街灯の光の届かない闇から、
幾多が出てきた。
「…」
無表情で、幾多はある程度の距離を取りながら、
山下の後ろを歩き出した。
十分後、山下は学校についた。
そこは、涼子も通っていた場所。
そして、涼子が自殺した場所でもあった。
(やはり…)
幾多は、正門に向かわずに、裏口に回る山下の背中を睨んだ。
後を追おうとした瞬間、幾多の携帯が鳴った。
マナーモードにしていた為、周りに音がもれることはなかった。
(時間がないな)
携帯を切ることなく、幾多は歩き出した。
ある番号にかけた。
「田端!い、幾多が、退院したって、本当なのか!お、俺に、で、電話がかかってきたぞ!」
山下は人に話を聞かれないように、塾を出ると、
裏口に走った。
「い、意識が戻らないと言っただろうが!」
山下は携帯に向かって、叫んだ。
「ど、どうしたら…」
異様に震える山下は、しばらくかけている相手の話を、うんうんと素直に頷きながら聞いていた。
「わ、わかった…」
山下は携帯を切ると、少しふらつきながら、歩き出した。
その足は、実家には向かっていなかった。
そして、その数メートル後ろの街灯の光の届かない闇から、
幾多が出てきた。
「…」
無表情で、幾多はある程度の距離を取りながら、
山下の後ろを歩き出した。
十分後、山下は学校についた。
そこは、涼子も通っていた場所。
そして、涼子が自殺した場所でもあった。
(やはり…)
幾多は、正門に向かわずに、裏口に回る山下の背中を睨んだ。
後を追おうとした瞬間、幾多の携帯が鳴った。
マナーモードにしていた為、周りに音がもれることはなかった。
(時間がないな)
携帯を切ることなく、幾多は歩き出した。