二択
「回りくどいメールだったけど…あの文は、私たちを呼び出して、ここに来いと言ってるのよ!復讐するつもりで!」

実花は別の指を噛むと、

「私たちは三人!逆に返り討ちにしてやるわ。そして、今度こそ、殺してやる!」

実花はポケットから、果物ナイフを取り出していた。




「恐いねえ〜」

三人の後ろから、ポケットに両手を入れた幾多が、現れた。

「今の中学生は、人を突き落としておいて、反省するんじゃなくて、さらに刺そうというんだから〜」

幾多は、後ろから実花のナイフを持っている腕を掴むと捻った。

「きゃあ!」

実花は思わず、ナイフを床に落とした。

さっと、幾多は腕を離すと落ちたナイフを拾い上げた。

「だけど、いいよ。それもね。人らしいよ」

幾多は笑った。

「あんた!誰よ」

腕を押さえながら、実花は幾多を睨んだ。

「話は、聞いたよ」

「え?」

三人が少し怯んだ時、

幾多はノーモーションで、ナイフを突きだした。


「だけど、君は普通過ぎる」

ナイフは、実花の喉を一刺ししていた。

「単なる嫉妬。それも、直接本人と関わらず、ただ離れて見てただけの嫉妬」

幾多はすうと、ナイフを抜いた。

「下らない」



実花は血を吹き出し、倒れた


「きゃ…」

突然の出来事に、一緒唖然となった奈津美は、悲鳴を上げるのが、一瞬遅れた。

その一瞬の間に、幾多は奈津美の腹に、蹴りを入れた。

悲鳴を最後まで上げることなく、渡り廊下まで転がった奈津美を見下ろしながら、

「黙れ」

幾多は、冷たく刺すような視線を奈津美に浴びせた。

そして、幾多はガタガタ怯えているだけの山下に、目で渡り廊下にいくことを命じた。

震える足で、山下は移動した。


2人が渡り廊下に並ぶのを確認すると、

幾多はナイフの柄を拭くと、2人の間にナイフを投げた。

「君達2人の内…1人だけ助けて上げる」

幾多は微笑み、

「相手を刺した方をね」


「!?」

その言葉に、奈津美と山下は顔を見合わした。



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