【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
Prologue
「……小林さま、たいへん恐れ入りますが、係の者がご案内しますので、このビルの四十七階にございます当行のオフィスまで、ご移動願えますか?」
あたし……小林 美々は、複合タウン・ベリーヒルズビレッジ内のオフィスビルの一階にある、あさひJPN銀行ベリーヒルズビレッジ支店に来ていた。
「えっと……あの……先刻渡した宝くじに、なにか……?」
去年の年末、この銀行の前の特設売り場で購入した「ウィンターBIG宝くじ」に、当たり籤があるかどうかを調べてもらうため、職場のお昼休憩を利用して来店したのだ。
「申し訳ありません。こちらの方では処理できかねますので、どうか案内の者と一緒に四十七階までご足労願えませんでしょうか」
窓口業務係の女性行員が頭を下げる。
「あ、はい、わかりました。行きます行きます」
こちらも同じく接客業の身だ。行員さんの手を煩わせたくはない。
「……お待たせしました、小林さま」
カウンターの奥から足早にだれかがやってきた。たぶん、案内係だろう。あたしはその声の方に顔を向けた。
「私、当行のリテール・事業法人部門の宝くじ部に所属しております中谷と申します」
——ええっ⁉︎ 営業部とか総務部とかみたいに「宝くじ部」ってあるのっ⁉︎
男性行員から恭しく差し出された名刺を受け取ると、
【あさひJPN銀行 リテール・事業法人部門
宝くじ部 部長 中谷 真人】
とあった。
「では、小林さま……こちらの方へ……」
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