【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
「……この方……『元カノ』さんなんですか?」
なぜか、自分でも信じられないくらい暗く低い声が出た。
「いや……それは、その……」
——彼女が元カノなのは、事実なのね?
なぜか、急にあたしの心が……モヤモヤっとしてきた。
「元カノさん、『行く場所』がないなんて気の毒じゃないですか?
……入れてあげたらどうですか?」
あたしはそんな心を押し殺すように「提案」してみた。
『えっ、いいのっ?うれしい、ありがとう!
婚約者さんから、お許しが出たわ!
……直仁、早く開けてよ』
スマホの向こうにあたしの声が届いたのか、麗華さんのはしゃいだ声音が返ってきた。
——なぜだろう?
心の中の白いモヤモヤが、スッキリと晴れない。
あたしは万里小路氏にとっては、形だけの「婚約者」なはずなのに……
そして、口から飛び出した言葉は……
「そうですよ。早く開けてあげてください。
代わりに、帰る場所のあるあたしが、お暇しますので」