【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)

あたしは、目を逸らして俯いてしまう。

——頬が、熱い。

だけど、そんなあたしを見て、彼の笑みがさらに深くなっていく。

そして、彼の左右の大きな手のひらで、あたしの両頬をすっぽりと覆って、俯いていた顔をくいっと持ち上げた。

今度は、頬が「固定」されてしまった。

あたしたちの目が、まるで吸い込まれていくみたいに……また合う。

今度は、彼の目から離れなかった。
いや——離れられなかった。

私を見つめる彼の穏やかな微笑みが、いっそう深くなっていく。
あたしのことが「好きで好きでたまらない」というみたいに(とろ)けるほどに甘い笑顔になっていく。

——あぁ、すっかり勘違いしてしまいそう……

だけどこの瞬間、きっとあたしだって彼のことを、潤んだ瞳で、熱い眼差しで、うっとりと見つめているに違いない。

< 114 / 136 >

この作品をシェア

pagetop