【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します！（原題：宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります！）

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あたしは実家暮らしで、東京二十三区から離れた某市に住んでいる。

関東方面に住んでいない人からは、
「東京にそんな市あったっけ？千葉？埼玉？」
と尋ねられそうなほど、マイナーな市だ。

——いやいやいや。
ちゃーんと、「東京都」なんだけどね。
しかも、神奈川寄りなんだけどね。


都心にあるベリーヒルズビレッジから郊外にある家まで、JR南武線とバスで一時間半ほどかかる。

多摩ニュータウンの東の端に位置しているが、田畑だった用地買収に手間取ったため、開発されて宅地分譲がスタートしたのが他地域よりもずっと遅く、一九八〇年台も後半だった。

（株）亜細亜(アジア)印刷に勤務する父と、週何回かパート勤めをするほぼ専業主婦の母が、この地の中古物件を購入してリフォームし、あたしたち三人の娘たちとともに移り住んだのは、さらに二〇〇〇年に入ってからだ。


南武線の最寄駅からコミュニティバスに乗り換え「◯◯団地」で降りると、辺りはかつていかにも建売だったであろうと思われる、同じような広さに同じような意匠の区画の戸建て住宅が広がる。

碁盤の目になった団地内を歩き、やがて自分の家に着いたあたしは、その門扉を開いた。

玄関のドアを開けて入り、パンプスを脱ぐ。
今日も一日中、立ちっぱなしの仕事だったから、ふくらはぎなどが浮腫(むく)んでパンパンだ。
はやくお風呂に入りたい。

しかし、とりあえずリビングへ向かう。


「……ただいま」