【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
エレベーターで四十七階に着いたら、そこはワンフロア全体が「あさひJPN銀行」のリテール・事業法人部門のオフィスのようだった。
あたしは部長の中谷氏に応接室のような部屋に通された。すぐに、制服姿の女子行員がやってきてお茶を供される。
「小林さま、こちらの方までご足労賜り、ありがとうございます」
黒革のソファの対面に座した中谷氏が頭を下げたので、あたしも釣られて頭を下げる。
思わず相手よりも深く下げてしまうのは、接客業の哀しい性だ。
「小林さま、恐れ入りますが、少々お時間をいただくことになるのですが、よろしいですか?」
——あ、そうだ。お昼休憩に出てきてたんだった!
今日はあいにく、お昼ごはんがまだだった。
「えっと……大丈夫です……」
そう答えてしまうのは、やはり接客業の哀しい性だ。
——仕方ない。終わったら、速攻で一階のコンビニに駆け込んで、一◯満足バーを買おう。
「ところで、早速本題に入らさせてもらいますが……」
わたしはこくりと肯いた。
「小林さま、おめでとうございます。
先程、お持ちいただいた『ウインターBIG宝くじ』の連番六〇枚分とバラ三〇枚分を当行で確認いたしましたところ、そのうちの計六枚が一等および前後賞と七等にご当籤なさっていました。
ご当籤金額は、六枚合わせて総額十億九百円でございます」