【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
「……なるほど」
あたしが中谷氏に連絡してここを訪れた経緯を話すと、彼は大きく肯いてくれた。
「ご実家を出られて自立されるんですね?
そのための住まいをお探しで、勤務先にも近いこのベリーヒルズビレッジのレジデンスが最適だとお考えになったんですね?」
今度はあたしが大きく肯いた。
——でも、ここって「銀行」だったな?
「不動産投資をしたい」というのなら、頼ってもいいかもしれないけど。
あたしは現金一括払いでそのレジデンスを購入したいのだ。当然のことながら、預金口座の残高が減りはすれども、銀行にとっての「旨味」はない。
なんだか「場違い」な相談をしていることに、初めて気がついた。しかも、この人は「宝くじ部の部長」さんだった。
だが、しかし——
「小林さま、畏まりました。
私の知人に不動産関係の者がいますので、ご紹介しましょう。
『知人』と言いましても、当行とは住宅ローンに関する業務で関わりのある信用できる会社ですので、どうぞご安心ください」
——えっ、いいのっ⁉︎
「……大橋不動産はご存知でしょうか?」
大橋不動産といえば、大手ゼネコン・大橋コーポレーションの系列会社じゃない!
願ったり叶ったりだ!
「は、はい、もちろん存じ上げています。
ぜ、せひ、よろしくお願いします」
あたしは中谷氏に深ーくお辞儀をした。