【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
階の天井まで届く、いかにも無垢の一枚板という木目の美しい観音開きのドアを、左右に開いて大橋氏は告げた。
「小林さま、こちらが私どものお預かりしています物件でございます」
「……す、すごい……」
あたしの口からは、思わす声が漏れ出ていた。
どう見ても、実家にあるあたしの四畳半の部屋がすっぽり入るほどの玄関だった。
もちろんマーブルの文様麗しい、本物の大理石である。
大橋氏が全面に鏡が張られた壁をぽんっ、と押すと、瞬く間に「扉」となって開いた。
彼は平然と中からふかふかのスリッパを取り出し、あたしの足元に置く。
「どうぞ、こちらをお使いください」
——なに?もしかして、忍者屋敷「仕様」なの?
「それから、リビングに続く両側の鏡張りの壁は、すべて収納スペースになっております」
——どっひゃー、あたしの服はおろか、持ち物全部収納してもまだまだ余裕あるね!
あたしはふかふかのスリッパに履き替えながらそう思った。
それに、今日は仕事じゃなかったから、パンプスじゃなくカジュアルなウェッジソールのサンダルを履いてきてしまったけれど、スニーカーじゃなくてよかった。
「小林さま、こちらがリビングでございます」