【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
Chapter ❸
「……で、小林さまとしてはどうされるおつもりですか?」
中谷氏はそう言って、アヒージョの入った陶器からたっぷりとオリーブオイルを染み込ませたバケットを手元の小皿に移した。
「うーん、どうしようか……もう、よくわからなくなってしまって……」
テーブルの上のモヒートの透き通った炭酸の泡を見つめ、あたしはぼそり、とつぶやいた。
ここ数日の「あり得ない日々」のせいで、あたしの容量はもう……いっぱいいっぱいだった。
あれから数日後、あたしはまたもや中谷氏に相談するために彼の連絡先に通話していた。
『なんだか、込み入った内容になりそうですね』
あたしの声が相当暗く沈んでいたのか、彼は気配を察してこんな提案をしてくれた。
『私の方は今日はもうそろそろ終業時間なんですが、もしよければ食事でもしながらお話しませんか?』
——なんて、ありがたい。きっと、中谷さんは「部下思いのやさしい部長さん」なんだろうなぁ。
『小林さまはスペイン料理は大丈夫ですか?
知人がここのショッピングモールで店を出しているんですよ』
「は、はい、大丈夫です!
こちらこそ、たびたびご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いします」
そしてあたしたちは、ベリーヒルズビレッジのオフィスビル一階にあるコンビニで待ち合わせ、すぐ隣のショッピングモールの三階に入っているこのお店へとやってきたのだった。