【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
そして数日後、大橋氏からあたしのスマホに連絡があった。
『小林さま、万里小路さまが結婚をご了承されました』
「はぁ……ありがとう、ございます?」
今度はあたしがカタコトの疑問形だ。
——あたし、もしかして、早まったことしてないよね?
だが、すでに賽は投げられ、ルビコン川を渡るためにコロコロと転がり始めたのだ。
今さら、後戻りはできない。
『それでですね、万里小路さまより伝言があるのですが……』
——なにかしら?
スマホを持つ手が、緊張する。
『宝飾店に勤務されている小林さまに、結婚指輪を選んでいただきたいそうです』
——おおっ、なんだか「結婚」が具体的な形になってきたわ。
「わかりました……では、そのときにお会いできるんですね?」
すると、大橋氏が急に言い淀んだ。
『いえ……その……あの……万里小路さまは、プロである小林さまに、すべてお任せしたいと……』
——それって、あたしが一人で選べ、ということ⁉︎
所詮、恋も愛も皆無な結婚なんだ、としみじみ実感した。
——こんなにデリカシーがない人なんだから、ニートでヒッキーの◯ビ◯ブ◯ゲなのは「確定」かも……いや、あくまでも「個人の感想」だが。
だが、仕方がない。
そんな結婚を選んだのは、ほかでもないこの「あたし」だ。