【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
——それを言われると……
世が世なら、おじゃる◯じゃなかった、やんごとなき御身分のお公家さまだった「ダンナさま」なのだ。恥をかかせるわけにはいかない。
なので、仕方なくあたしは、
「わかりました。……では、本社の方に問い合わせて、一カラット以上のハイクオリティなダイヤに、made to orderにはなりますが付け替えさせていただきますね」
——こうなれば、ほかの「C」にも拘ってやるわ!
ダイヤモンドにはカラットだけではなくて、カット・カラー・クラリティという評価基準が設けられていて、それらはすべてCから始まるため「4C」と呼ばれている。
「カット」はダイヤモンドの輝きの評価基準で、Excellentを最上位として五段階ある。
(最近では、ハート&アローやハート&キューピッドなるカットが出てきてはいるが国際基準ではない)
「カラー」はダイヤモンドの地色を表していて、無色透明のDが最上位だ。
「クラリティ」はダイヤモンドの透明度のことで、ルーペを使ってもダイヤの中に含まれる内包物が見られないFlawlessが最上位である。
「小林さまの『プロの目』でごらんになって、ぜひ高品質のものをお選びになった方がいいと思いますよ」
中谷氏は容易におっしゃるが、一キャラアップともなると、すべてが最上位になるダイヤモンドはなかなかお目にかからない。
そして、運良くあったとしても、とんでもない価格になってしまう。
——「妥協」するとしたら、どれにするかな?
絶対に譲れないのは「カット」だ。
素人の目から見ても、大きさの次に「輝きの違い」はなんとなくわかるものだ。
たとえ、お手頃な大きさのダイヤだとしても、あたしはお客様にはExcellentをお勧めする。
それがもし婚約指輪なら、絶対にそうする。
一つひとつの宝石を熟練の職人が自らの勘と経験に頼って手で研磨していた頃と違って、現在ではコンピュータに「設定」を打ち込まれた機械が内包物を的確に避けながら確実にExcellentにカットできる。
だからこそ、我がJubileeではハイブランドでは考えられない価格で高品質な商品を提供しているのだ。
——とはいえ、一キャラアップともなると、色や内包物も「目立つ」からなぁ……
小さいとさほど気がつかないことでも、大きくなれば粗が際立ってしまい、目についてしまうおそれがある。
目の肥えた富裕層が集まるパーティでは、なおさらだ。
「……わかりました。できるだけ品質の良いものを選びますね」
——どんな値段になっても知らないからね?