【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)

「あたし……とても、そんなVIPの方々がお集まりになる晴れがましいパーティに、出られるような『育ち』じゃないので……」

——それに「結婚相手」は、ほとんどニートでヒッキーのチ◯デ◯ハ◯のおじゃる◯じゃなかったのっ⁉︎


「……小林さま」

大橋氏が、あたしをまっすぐに見据えた。

「私はあなたに『本当によろしいのですか』とお尋ねしましたよね?」

——うっ、それはそうなんですけど……

「万里小路さまは、あのレジデンスのご相続のために、小林さまとのご結婚を決断されたのです。
ですからこのパーティは、万里小路家にとって、いろんな意味を含んだ『お披露目』なんですよ」

——そうだった。

そのために万里小路さまは、まだ見たこともないあたしなんかに、あんな豪華なブライダルリングを贈ったのだ。

「……すいません。勝手なことを言いました。
パーティはどうぞ予定どおり進めてください」

あたしは頭を下げて詫びた。

「いえいえ、頭をお上げになってください。
私どもといたしましては、小林さまが理解してくだされば、それでいいんです。
詳しいことは私の方から追って連絡しますが、万里小路さまの方としましては、パーティに関することはすべて任せてほしい、とのことです」

もちろん、それについては異論はない。
逆に、「意見」を求められたら困ってしまうほど、富裕層(あちら)の世界のことはわからない。


それから大橋氏は、スーツのジャケットの内ポケットからカードらしきものを取り出した。

「これは、万里小路さまから小林さまへのメッセージカードです」

——えっ?

「あなたにこのパーティを承諾していただけたら渡すようにと、万里小路さまより言付(ことづ)かっておりました。……どうぞ」

大橋氏から差し出された二つ折りのカードを受け取る。

まるで無印で売ってそうな、何の変哲もないシンプルなデザインのカードだった。


あたしはそれを、はらり、と開いた。

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