【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
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あたしはその後、Jubileeの店舗(テナント)が入るショッピングモールから、オフィスビルのライフサービスゾーンの六階にあるエステサロンに連れてこられた。

女優やモデルなど著名人たち「御用達(ごようたし)」の、なかなか予約が取れなくて有名なサロンだった。

通された部屋には、中央に施術用と思われる立派なベッドが、どーんと鎮座していた。

そしてその周囲には、アジアンテイストの中にもヨーロッパの影響を色濃く受けたダークブラウンの木製の調度品が置かれていて、熱帯地方原産のみずみずしい緑の葉の観葉植物と相まって、心から落ち着ける雰囲気を醸し出していた。

しかし、仏領インドシナ時代のアンティークと(おぼ)しき調度品は、さりげなく置かれてはいるものの、きっと現在ではなかなか手に入らない、ものすごく高価なものに違いない。

——もしかしたら……ここって、VIP専用ルームなのかも……


「悪いけど、時間がないのよ。
彼女をとにかく一刻も早く磨き上げて、ピッカピカにしてちょうだい」

場違いなところに放り込まれて、たじろぎまくるあたしのことなんてガン無視して、久城さんが「司令」を飛ばす。

とたんに、わらわらとエステティシャンのお姉さんが三人、あたしの傍に駆け寄ってきた。

「お客様、たいへん不躾で恐れ入りますが、お召し物を全部脱いでいただけますか?」

——えええぇっ⁉︎

エステって、確か紙パンツくらいは身につけてもいいんじゃなかったっけ……?

「時間がない、って言ってるでしょっ。
つべこべ言わずに全裸になりなさいっ!
『業務命令』にしてもいいのっ⁉︎」

——ぜ、全裸って……

だけど、いつまでも拒否っていたら、今度は「業務命令」を出されてしまう。
なんだか、この人なら法令遵守(コンプライアンス)そっちのけでやってしまいそうな気がする……

「ぬ、脱ぎますけどっ!
……だけどっ、せめてバスタオルとか貸していただけませんか……?」

すると、弾かれたようにエステティシャンの一人が「失礼しました」と、ふわふわっの真っ白なバスタオルをあたしに差し出した。


「じゃあ……あとはお願いね」

そう言うと、久城さんはくるりと背を向け、部屋から出て行った。

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