【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
バスローブのような真っ白なガウンを羽織ったあたしは、言われるがまま施術してもらっていた部屋から出ると、今度はうちの店舗のサロンルームみたいな部屋に通された。
久城さんがソファにゆったりと腰掛けて飲み物を口にしていたが、その隣にもう一人いた。
「……お疲れさま。すっかりつるつるピッカピカね」
彼女がソファから立ち上がった。
久城さんほどの人目を引くパーっとした華やかさはないが、いかにもバリキャリといった感じの、キリリと引き締まった顔立ちが印象的な美人だった。
「そうねぇ……イエローベースのオータムで……骨格診断はストレートタイプみたいだから……」
彼女はそうつぶやいたかと思うと、くるりと向こうを向いた。
そこには、アパレルのお店なんかでよく見かけるハンガーラックがあった。
ラックにはいろんなデザインのカクテルドレスが何着も掛けられていたが、それらはすべて「赤色」だった。
だが、同じ赤色でも、青みがかったものから黄味がかったものまで「さまざまな赤色」だ。
「……オータムタイプの人は煉瓦色っぽいのが似合うんだけど、晴れがましい場ではちょっと地味なのよねぇ……」
再び、ちらりとあたしを見る。
「あら、あなたすっごく色白ね。
だったら、深い色合いのバーガンディなら、ブルーベースのサマータイプでも似合いそうね。むしろ、おなじイエベの明るいスプリングタイプの方が、顔映りが悪くなって似合わないわね」
彼女はラックに手を伸ばして、物色し始めた。
「ストレートタイプの人は、なるべく首元を大きく開けた方がバランスよく見えるのよね。
それにあなた、すーっとまっすぐに伸びたきれいな脚をしているわね。膝小僧は見せましょう」
そして、彼女は一着のカクテルドレスを手にした。
スクエアネックのノースリーブに、スカート部分が膝上丈のコクーンになっている、赤葡萄色のドレスだった。
「あら、いいじゃない。彼女の雰囲気によく合っているわ。
……さすが、華絵ね」
久城さんは、ふふふ…と優雅に微笑んだ。