【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)

「あぁ、よかった。色もデザインも、あなたにすごく似合ってるわ」

カクテルドレス姿になってサロンのような部屋に戻ってくると、華絵さんがホッとした顔で出迎えてくれた。

「さぁ、あとはヘアとメイクよ。
ところで……婚約指輪(エンゲージ)結婚指輪(マリッジ)は持ってきた?」

久城さんに言われて、あたしはあわてて通勤で使っているトートバッグからリングケースを取り出す。

ぱかり、と蓋を開けると我がJubileeが誇るVincula()が現れて、室内の照明の光を集めてキラキラと輝き出した。

「あら、素敵。礼子さんのデザインなのね?」

華絵さんが覗き込んで歓声をあげる。

「よく言うわね。……自分は裏切って、カル◯ィエにしたくせに」

久城さんが華絵さんをぎろり、と睨む。
華絵さんの左手薬指には、1895のエンゲージとマリッジがあった。

「だって、大貴(ひろき)がサプライズでくれたんだもん。
……それにしても、すっごく質の良さそうなダイヤねぇ」

「ふん、もうすぐ高校生になろうかという息子がいるのに、なぁにが『大貴』よっ」

——ええっ、華絵さんにはそんな大きなお子さんがいるの⁉︎

どう見ても三〇歳前後にしか見えないので、びっくりする。

「作家の神宮寺(じんぐうじ) タケルが婚約者に贈るエンゲージのために、鮫島社長がわざわざムンバイまで行って買い付けてきたダイヤの一つなのよ。
香港人のバイヤーと競り合って、なんとかぶん取ってきたらしいわ」

ムッとした顔をしながらも、華絵さんに説明していたが、

「さぁ……ヘアサロンへ行くわよ」

久城さんがソファから腰を上げた。

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