【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)

『当せん、おめでとうございます。今あなたは、突然訪れた幸運に驚きと喜びを感じていることでしょう。』という文章が目に飛び込んできた。

さらに、目次のページまで(めく)ってみると……

『⚫︎受け取った当せん金は、とりあえず安全な場所へ
⚫︎ひとりでも人に話せば、うわさが広まるのは覚悟しよう
⚫︎当せんして何が変わるか』

いくつもある章の中から、このような文章が目についた。

——そうだ。今まで見たこともない大金を「これからのあたし」は持つことになるのだ。

なんだか、突然、無性に怖くなってきた。

思わず、対面のソファに腰掛ける中谷氏を(すが)るような目で見てしまった。


「こちらの冊子には、ご当籤直後の浮き立つ心境を経て、ご当籤金をお受け取りになったあとの使い道、そして周辺への対策に関するアドバイスが書かれております。ぜひこちらを熟読していただいて、ご参考にしてください」

中谷氏は穏やかに微笑んで言った。

あたしは、こくり、と肯いた。


——とりあえず、当籤金はこの銀行の口座に振り込んでもらうから『安全な場所』だし、あたしが『ひとりでも人に話』しさえしなければ、『うわさが広まる覚悟』もしなくていい、ということだわ。

『当せんして何が変わるか』だけは、ちょっと予測つかないけれど……

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