【コミカライズ】宝くじに当たってセレブな街で契約結婚します!(原題:宝くじに当たってベリーヒルズビレッジの住人になります!)
「……そんな戸口で突っ立っていられては落ち着きませんから、どうぞお掛けください」
展望台フロアならではの眼下に広がる煌めく夜景を背に、泰然と構えた万里小路氏があたしにソファを勧める。
「……し、失礼します」
あたしは、窓に面して半円状に置かれた革張りのソファの端っこに、ちょこんと腰掛けた。
「ずいぶんと雰囲気が変わって、華やかになりましたね。とはいえ、初々しい花嫁らしい清楚さもある。
……彼女たちに任せたのは、やはり正解だったな」
万里小路氏はあたしを眺めて満足げに言った。
「あ…あの……サロンやドレスに掛かった費用はお支払……」
「その必要はありませんよ」
あっさり、遮られた。
「で…でも、こんなに豪華な婚約指輪もいただいたのに……」
あたしは左手薬指に輝く一カラット以上のダイヤモンドを見た。
「構いませんよ。必要経費として、織り込み
済みですから」
——『必要経費』……
「最低でもそのくらいの大きさがないと、口さがない出席者から、なにを言われるかわかりませんからね」