はなうらない
どうにもとまらない
この同期と会うのは久しぶりだった。同じ会社に勤めてはいても、オフィスの階が違うので殆どすれ違うことすらない。
「ハキになりました」
お通しに手をつけることなく、注文した日本酒辛口をくっと決めた後、同期が宣った。
「ハキ?」
「婚約」
「え」
私は思わず箸を落としそうになった。
お通しの御洒落なポテトサラダとともに。
落とす前に置いた。
「何故」
「……性格の不一致?」
「どうしてそこにハテナがつくんですかね」
この男、入社五年目になる私の同期。
八橋青磁。
ここら辺一体のビル、レジデンス、テナントを所持する旧財閥一家の血を継いでいる。
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