はなうらない

同僚です、と続けると、八橋さんは宙を見てから返した。

「こんな時間に?」

確かに勤務時間ではない。どれだけお土産の心配をしていたのだろう。

「私よりお土産の心配してました」
「それ、お土産を口実に正武さんの心配をしてたんですよ」
「私はそんな、心配されるような人間じゃないですから」

少し笑ってしまう。どちらかと言うと、心配する側の人間だ。
八橋さんはそこを動かず、ぽつりと言った。

「俺は心配しますよ」

急に、どんな顔をして良いか分からなくなる。
赤くなれば良いのか、青くなれば良いのか。

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