はなうらない

私に構わず、八橋さんは動いた。

「ここ、使ってください」

右側にあった扉を開く。電気が点いて、そこが普通に広い部屋であることが分かった。

……ゲストルームとは。

「タオル類は棚の上に、リモコン類は机にあります」
「ここは一体、誰の部屋だったんですか」
「いやゲストルームです」
「最初から?」
「最初から。その用途の為に作られた部屋です」

金持ちの考えることは分からない。
招待する人の部屋を作ってしまうなんて。

私みたいな庶民は、スペースがあるなら自分の為に使いたいと思う。

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