はなうらない
暫く部屋の真ん中で呆然と立ち尽くしていると、開きっぱなしだった扉の向こうから呼ばれた。
「正武さん、お風呂溜めますか?」
「あ、いえ、お構いなく」
「じゃあシャワーで良い?」
こくこくと頷く。
荷物をおろして、八橋さんの後ろにくっついて行くと、広い脱衣所と広い洗面台と広いお風呂場があった。
物が少ないから更に広く感じるのかもしれない。一軒家のうち以上だ。
「あるものは好きに使ってください。ドライヤーはここに」
戸棚からドライヤーが出てくる。なんか、現実味がない。
「すごいですね」