はなうらない

店を出る頃には飲みすぎてぼんやりしていた。

「あ、お金」
「え?」
「お金、はらってませんでした」

そういえば八橋さんがお会計をしてくれていたのを思い出して、鞄から財布を出す。

「いくらでしたか?」
「いらないです」
「一万で足りますか……あ、コンビニ!」
「危ない、正武さん」

コンビニが見えて、お金をおろすことに回路が繋がった。よろけた私の腕を八橋さんが掴む。

「今度」
「え、今度で良いですか」
「いや、今度、その街コンの話を聞かせてください。それで、チャラで」

いや、チャラにはならないだろう。

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