はなうらない
とは思ったものの、何故か寂しそうな顔をする八橋さんに反論する気にはなれず、私は財布をしまった。いつか絶対に美味しい鰻を奢ろうと心に決めて。
「わかりました、それでチャラで」
返事をすると、八橋さんは安堵したように笑った。
駅の改札で八橋さんとは別れた。
「気を付けてください、夜道に」
「気を付けます。八橋さんも」
この関係が同期以上だというのなら、八橋さんは友人枠なのかもしれない。私の中でも、八橋さんの中でも。それ以上には、きっと、ならない。