はなうらない
正直に白状すると、有明は呆れた顔をしてティッシュを捨てた。
「今更問題すぎてどこから突っ込めば良いのか分かんねえ」
「いや、一言なんかあっても良くないですか?」
「同期の方、それどころじゃなかったんじゃないですか? 挨拶とか色々済んでから、正武さんにちゃんと言うつもりだったのかも」
籾野さんのフォローのような言葉が逆に胸を刺す。
確かに、忙しかったのかもしれない。
私のことなんて思い出せない程には。
じわりと涙が滲む。それに気づいた籾野さんがぎょっとしながらこちらにティッシュを差し出す。