はなうらない

「そんなにショックだったんですか……?」
「違います、おめでたいなと思いまして!」
「自棄になってるよこの人」

ビールを呷る。
それは自棄にもなる。

いや、自棄になるくらいなら、あの時素直に「付き合いましょう」と言えば良かった。

そこまで考えて、私はやっぱり八橋さんのことが好きだったんだなと自覚した。
遅いけど。

好きだから、やっぱり結婚式に呼ばれたら言葉を贈るだろうし歌も唄うだろうし「おめでとうございます」と笑うのだろう。

仕方ない。
住む世界の違う人だから。

それを言ったら、八橋さんは怒るだろうか。でも、本当のことだ。

< 138 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop