はなうらない

……何故、私は今、八橋さんの作ったカレーを食べているのか。

「口に合いませんでしたか?」
「いえ、すごくとても美味しいです」

久しく他人の作った料理なんて食べていないので、胃袋に沁みた。夏野菜がごろごろと入っており、一体どこで入手したのだろうと考える。

「何時に起きたんですか?」
「昼の1時過ぎに……すいません、眠りこけて」
「いえ、八橋さん……疲れてそうだったので」

この期に及んで、尋ねて良いのかと躊躇っている自分に笑える。

そして、悪魔の自分が囁く。

何も知らないふりをしたら、ここに留まってくれるかもしれない。

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