はなうらない
人はこうやって、自分の本性と向き合って生きていかないといけないんだろうか。
逃げたい。
すごく、逃げたい。
「どこまで野菜買いに行ったんですか?」
「近所の、商店街の八百屋さんまで行きました」
「あそこ、新鮮だし安いんですよね」
「茄子をひとつオマケしてくれました」
卓袱台に戻り、グラスに麦茶を注ぐ。ひとつを八橋さんに渡した。
ビールでも飲めば良かったかも。
酔って、現実から逃げられれば。
「気前の良いおばさんなんです」
「カードが使えなかったので、一万円借りました。ありがとうございます」
都会と違って、ここら辺ではキャッシュレスは程遠い。