はなうらない

カードを出されて、おばさん驚いただろうな。
それに笑って首を振る。

「私こそ、カレー作ってもらってありがとうございます。その一万円は持って帰ってください」
「いや、それは」
「持って、帰ってください」

八橋さんの目は見ることは出来なかった。

逃げたい。
逃げたいけれど。

「ちゃんと……帰った方が良いですよ」

隣の部屋に敷かれた布団はきちんと畳まれていた。
生まれてこの方、敷布団なんかで寝たこと無さそうだけど、きちんと畳み方を知ってるんだなと、ぼんやり考えた。

ここに、こんなところに、貴方はいるべきじゃない。

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