はなうらない

「います。結婚も考えてます」

口から出任せを言った。

八橋さんの方を見上げれば、きょとんとした顔の後、深く絶望したような悲しそうな顔をした。
……だって、八橋さんが悪い。

遊ぶ約束をしたのに連絡を絶って、婚約者と結婚する予定の八橋さんが。

こんなところに居ないで、早く婚約者のところにでも行けば良いのに。

来てくれたことが嬉しい自分もいるのに、それを認められない。
どうせまた、喜ばされて、落とされる。
認めてしまえば、痛むのは自分だ。

「仕事は、どうしたんですか。八橋さんがいなかったら、人事部まわらないんじゃないですか?」

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