はなうらない
続くだろう言葉を制した。
「分かりました。私から話します」
「……良いんですか?」
「態々こんな場所まで顔見に来てくれたんですから」
「ありがとうございます」
私は逃げたいと思っていた。
でも、今はなんとなく分かる。
きっと、八橋さんは何かから逃げてここまで来たのだろう。
それなら、私がここから追い出すわけにはいかない。
八橋さんはカレーをお替わりしていた。
その日から、私と八橋さんの密やかな共同生活が始まった。
と言っても、大抵八橋さんは家に居て、本当に雨戸を開け閉めしたり、私の下着以外を洗濯したり、ご飯を作ってくれた。