はなうらない
私は大人しく明日の天気予報に目を向けながらテーブルを拭く。拭き終えた頃に、玄関のチャイムが鳴った。
台所から八橋さんが顔を出す。
「誰ですか?」
「誰だろう?」
二人して時計を見る。宅配を頼んだ覚えはない。ちょうど夕飯前時なので、ご近所さんたちは忙しい頃だろう。
台拭きをそのままに、私は立ち上がった。
玄関に向かうと、二人の影が見えた。
はい、と言いながらガラガラと引き戸を開ける。
「お疲れ様でーす」
「え、どうし」
「今日休日出勤だったんですよ」
「それはお疲れ様です」
「何回か正武さんの携帯鳴らしたんだけど、出ねーから行ってみるかって」