はなうらない
その言葉に、携帯の所在を頭で検索した。多分自分の部屋のベッドにでも転がっているのだろう。朝起きてから見ていない。
休日出勤だったという有明と籾野さんはスーツとオフィスカジュアルだ。しかし、手に大量の酒を持っている。
「近くの酒屋さんが割引してくれた」
視線に気付いたのか、有明が説明してくれた。
「夕飯作ってたんですか? すごい出汁の良い香り……」
「え、あ、うん、え?」
籾野さんの言葉に挙動不審な返答。
というか、家にあがってもらってない時点で可笑しい。
有明と籾野さんはそれに気付いていながら、酒を持ちながらそこを動かない。