はなうらない

うちには今、八橋さんが居る。

二人を会わせるわけには……。

「こんばんは」

後ろから聞こえた声に、その場にいた全員の視線が向いた。

「こんばんは」
「お客さんいたんですか?」

有明と籾野さんの方が冷静だった。

「いや……」
「鮭のフライ、食べます?」

八橋さんが尋ねる。

「お、食べたいです」
「ちょ、有明さん」
「……あがってください」

作るのは八橋さんだけれど。
私はスリッパを出した。

居間で酒瓶、酒缶を並べる二人を置いて、私は八橋さんのいる台所へ飛び込んだ。

「大丈夫ですか?」
「多めに買ったんで大丈夫です」

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