はなうらない
私の言葉に、八橋さんは隣に腰を下ろした。
「じゃあお言葉に甘えて」
籾野さんが机に突っ伏している。
「籾野さーん」
「はーい、もう食べられないので……」
何を食べるつもりなのか。起きる気配がないので、隣の部屋の押入れからタオルケットを引っ張り出す。
「正武さん、やりますよ」
「あ、大丈夫です」
立ち上がろうとする八橋さんを制する。
夏場だからなくても良いけれど、いちおう籾野さんの肩にかける。
その様子を有明が見ており、八橋さんへ視線を向けた。
「うちの会社の同期にも八橋っているんですよ」